小さな物語たち

優しく、時に切ない、小さな物語を紡いでいきたいです。

しんしんと

降り積もる雪は

辺りの音までも

包み込んでいく

 

静寂が満ちていく

 

音の消えた世界

色の消えた世界

 

忙しなかった僕の心が

不思議と落ち着いていく

 

焦りも悩みも

この白さで塗り替えられて

 

冷え込んだ寒さの中で

気付いたのは

温かな光

 

そして

世界はまた動き出す

いま

新しい自分が始まる

 

 

この空の下で

遠い空を見つめて

あなたは何を思うのだろう

 

大きな夢

小さな幸せ

 

この空の下

数え切れないほどの

人生が行き交う

 

それぞれの思いを胸に抱いて

 

みんなが笑顔でいられたらいいのに

 

単純かもしれないけれど

ひたすらにそう願う

 

私が笑うことで

世界にひとつ笑顔が増えること

 

あなたを笑わすことができれば

世界にもうひとつ笑顔が増えること

 

繰り返していこう

ひとつひとつを丁寧に

 

繋げていこう

今感じている温もりを大切に

 

 

君との距離

君の横顔を見ていた

君がどんな表情をしているのか 知りたくて

 

君の視線を追いかけた

君が見ているものを 知りたくて

 

君の声を聴いていた

君の心を 知りたくて

 

いつか

君との距離を もっと縮められるのかな

 

今はまだ その勇気はない

 

だけど

君のことを考えるだけで

こんなにも

気持ちがあったかくなる

 

切なくなるときもあるんだ

それでも今は

その切なさだって 抱きしめるよ

 

僕は君に出会えて

とても幸せだよ

 

 

 

僕がいて

小鳥のさえずり

僕の夢

 

澄み渡った空

僕の願い

 

揺れる花びら

僕の心

 

いつでも見られる景色のようで

一瞬しかないきらめきを

僕の中にも焼きつける

 

奇跡の重なり 感じながら

そこに見つける

僕という存在

 

 

僕だけの道

君も見ていただろう?

僕の無様な姿を

 

どうしたらいいか 分からないんだ

器用に生きられたら どんなに良いだろう?

 

けれど、受け入れるしかないじゃないか

こんな自分を

 

ゆっくりでも 歩き続けよう

それが一番の近道だ

抜け道はない

 

だけど、疲れたときは休めばいい

 

休んでいたって

僕は僕だよ

 

周りが変わっていくだけだ

焦らなくていいんだ

僕自身が変わるわけじゃない

 

自信がないときには

君の顔を見るよ

 

君は静かに

「大丈夫だよ」って言ってくれればいい

 

その声が 僕に勇気をくれる

こんな僕でも大丈夫なんだと 安心できる

 

そうすれば、

きっとまた一歩を踏み出せる

 

小さな明かりを胸に灯して

僕だけの道を歩んでいく

 

 

パパとパンダ

 ネクタイをしているパパは、キライ。いつも、おうちに帰ってくるのがおそいんだもん。わたし、パパといっぱい遊びたいのに・・・。

 会社に行く日のパパには、「おはようございます」と「行ってらっしゃい」のごあいさつはできるけど、「お帰りなさい」と「おやすみなさい」は言えないの。だって、わたしは寝ちゃってるもん!

 

 でも、明日はお休みの日。お休みの日のパパは大好き。いっぱい遊んでくれるし、お歌が上手で、車の運転もとくいなの。

 明日は、パパとママとわたしで、動物園に行くんだ。大好きなパンダさんもいるの。すごく楽しみ!

 

 夕方、ぬいぐるみのコロとおままごとしていたら、電話がなった。

「もしもし」

 ママが電話に出た。

「だれから?」

 わたしが聞くと、ママが答えた。

「パパよ」

「パパとお話したい!」

 わたしがお願いすると、ママはちょっとこまったような顔をして、電話をかしてくれた。

「もしもし、パパ? ユキだよ」

 そしたらパパが言ったの。

「ユキちゃん、ごめん。パパね、明日お仕事になっちゃったんだ」

 わたしは、とてもかなしくなった。

「そんなのヤダ! 動物園に行くおやくそくは?」

「本当にごめんね。つぎの休みには、ぜったい行くからね」

 パパのうそつき・・・。なみだがポロリとこぼれた。

 

 ママが作ってくれた夕ごはんは、大好きなハンバーグだった。でも、元気が出なくて、半分しか食べられなかった。

 わたしはコロを抱っこして、お布団にもぐった。

 夜、ママが寝ちゃっても、パパはまだ帰ってこなかった。

「パパ、どうしたのかなぁ」

 

 パパのお仕事って、わたし知らないの。

「パパを探しに行こう!」

 わたしはコロといっしょに外に出た。とてもしずかで、空にはお星さまがキラキラ。だけど、どっちに行けばいいか分からないよ。

 

 そしたら急に、コロが鼻をクンクンと動かした。

「こっちだワン!」

 コロは、わたしのうでから飛び下りて、走り出した。わたしはいっしょうけんめいコロを追いかける。

 

「ここだワン!」

 コロが止まった。そこは、動物園の前だった。

「パパのにおいがするワン」

 わたしはコロと、動物園の中へ入った。動物たちは寝ているみたい。

 

 しばらく歩いていたら、

「え~ん、え~ん」

 と泣き声が聞こえてきた。

 行ってみると、泣いていたのはパンダさんだった。

 

「どうしたの?」

 わたしが聞くと、パンダさんは答えた。

「お母さんに会いたいんだ。でも、お母さんは遠いところにいて、会えないの」

 そのとき、タッ、タッ、タッ・・・・と足音がした。だれかこっちに来る。

「大変! 見つかったら、きっとおこられちゃう」

 わたしとコロは、急いでかくれた。

 

 足音は、パンダさんのおりの前で止まった。 こっそり見てみると、そこにはネクタイをしたパパが立っていたの!

 わたしはびっくりして声を出しそうになったけど、ガマンした。

 

「パンダさん、泣かないで。お母さんのところへ連れて行ってあげるよ」

 パパはそう言うと、ネクタイをぎゅっと引っぱった。そしたら、あっという間に、ネクタイがマントになっちゃった!

 パパはひらりと飛んで、おりの中に入った。それから、パンダさんの大きな体をもち上げて、そのまま空へと飛んでいく。

「パパ、すごい!」

 お月さまの光の中に、パパとパンダさんが小さく見えた。わたしは、「行ってらっしゃい」と手をふった。

 

 パパが見えなくなると、わたしはコロに言った。

「おうちに帰ろ」

 おうちに着くと、ママはぐっすりねむっていた。わたしとコロは、ママを起こさないように、そっとお布団に入った。

 

「おはよう」

 朝、わたしが起きると、ママはテーブルにお皿をならべていた。ママが言った。

「ごめんね。今日はパパ、お仕事に早く行かなくちゃならなくて、もう出かけたの」

 でも、わたしは泣かなかったよ。

 

 それからお皿を見て、びっくり。パンダさんの顔のおにぎりだ!
「パパが作ったのよ」

 ママがわらう。わたしもにっこりわらった。

 わたし、ネクタイをしているパパも、だ~い好き!

 

 

おしまい

 

 

 

冷たい夜

ささくれだった心から

刺々しさに覆われた言葉を吐き

今日もまた自己嫌悪

 

周囲に苛立ったところで

何も変わりはしないのだから

自分が変わらなければならないのに

 

本当の自分は臆病で

この強張った鎧を脱げずにいる

 

誰より穏やかになりたいと願い

優しさに包まれることを求めているのに

 

きみの寝顔を見つめていたよ

「僕はきみのようになれるかい?」

ちっぽけな僕の心が 深呼吸する

 

「答えは自分で探すよ」

誓いと言えるほど厳かではなく

独り言とするには寂しすぎるさ

 

もしも見つかったときには

きみがまだ

隣にいてくれると良いのだけれど

 

きみには この声

夢の中で響いたのかな

 

星が瞬く冬の日の

眠れぬ夜は

いつもより切なくて――